間違いを訂正する勇気

間違いを訂正する勇気を持ってもらいたい。弘法も筆の誤り。猿も木から落ちる。その道の達人と言われている人でも、時には失敗することがあります。それに気づいた時に、躊躇なく自分の誤りを正すことができる人になってもらいたいと思います。

プロコンだから恥ずかしいとは思わないで下さい。プロコンはクライアントに喜ばれる仕事をすべきです。誤りを正さずにそのままにしておくことは、結果的にクライアントが悲しむことになります。ですから、勇気をもって自分の誤りを正しましょう。

人間は誰でも失敗するときがある。自分は完璧な人間じゃない。そう思っていれば、自分の誤りを正すことに抵抗はなくなると思います。

専門家といえども、その道を学ぶ前は皆さん素人です。素人がプロになった人ばかりです。その途中で、もしかしたら正しいことばかりを学べたわけではありません。GMPのように、背景が異なれば解釈が異なるような領域では、誤解も生じがちです。ましてをや、組織に所属していて、人それぞれ解釈が異なり、かつ伝言ゲームのように耳から入る情報は言うまでもありません。

こんな事例があります。査察のプロであるFDA査察官が、FDA-483に書いた事例です。

皆さんは、FDA-483の文章が全て正しいと思っていませんか。FDA査察官も人間です。間違えることもあります。ですから、全てを信用することは避けましょう。その信憑性を評価した後で、事例として参考にしましょう。

あるFDA査察官が、本部のコンプライアンスオフィスに質問をしました。ある会社が、仕掛品(未表示の製品*)を置いているトレーに製品名、ロット番号等の識別情報をラベル表示していました。そのラベルを収支照合(出納)していなかったので、FDA-483を出しました。これは正しいかという質問です。*ちなみに、これを"white stock"と呼んでいます。

答えは"NO"です。

もしかしたら、良い実践かもしれません。しかし、収支照合しないことでGMP違反と判断してはいけません。そのような要件はないからです。

このFDA-483の一文は、もちろん削除されたはずです。